目の前に いるのはほんとに 人の子か?

 と言う大げさなタイトルですが、結局はまた万引きがあったのです。
 ちょっと、長くなるか知れませんが…。

 事の経緯は、普通に仕事している時に、なんとなく怪しいのに気づきました。
 少しカメラで様子を見ていると、かなり危険度高かったです。
 盗もうとする本を、別の場所において周りを巡回すると言うのは、直前に良く犯人のする行動です。
 時間が、仕事の終る間近でしたし、相手は子供なので、防犯路線で、防ぐつもりでした。
 実際、別の所に置いてあった本を、棚に戻して、相手を軽く睨みました。普通なら、これで諦めて変えるはずです。このパターンを、何度もこの手で防いで来ました。
 相手も、マークされているのに気づいたはずなので、一安心。
 相手が男ならずっと後ろについて追い返しても良いけど、女の子だと、少し弱気と言うか、そこまで出来ないので、取りあえず、近くで監視をする予定でしたが、レジが混んできたので、そっちの応援に行きました。
 その後、まだ相手が店にいたので、もう一度確認使用と思った矢先、こっそり犯人が死角だと思った場所でカバンにコミックを入れてました。
 こうなると、捕まえるしかないわけで、監視カメラの前に戻って、相手の様子を見てました。
 1冊とったので、安心(?)したのか、次々とカバンの中にコミックを入れてます。
 その様子は、カメラでしっかり確認でき、ビデオにも残ってます。
 その後、店を出たところで身柄を確保。事務所で話をする事になりました。
 相手は、12歳との事なので、一番良いのは学校に連絡なのですが、警察へ通報と言う事になってしまいました。
 こう言う時、不慣れな店長がいるのは凄く邪魔です。
 とにかく、警察が来るまで、色々と話を聞きました。
 
 なんと言うか、呆れたと言うか、悲しくなったのは、犯行の動機。
「友達が盗れといったから」
 だそうです。特に、悪びれる事も無く、反省しているのか?という質問にだけはいと答える。
 本は特に欲しくなかったとも言ってます。
 そんな事で、人生台無しにしてます。
 少しきつめに問い詰めても、平然としてます。大声で泣くとかされない分ましだったかもしれませんが、会話のネタ(?)が尽きて警察が来るまでの時間が空気が重かったです。

 この時、自分は一番言いたかった事言わずに、ずっと我慢してました。

 その後、警察が到着。最近の警察は、万引きに対して色々と温和になってきたので助かってます。
 犯罪者に対してではなく、被害者に対してですけどね。取調べとか、だいぶ時間短縮されましたから。
 で、親と連絡が取れたので、店に呼んで説教すると言う事になりました。
 すぐに来るはずの親は、20分ほど来ませんでした。
 その間、警察の人は犯人に反省文を書かせ、自分はそれを見ているだけ。
 やっと親が来た時は、警察の人に色々と言われて、犯人は少し泣いていました。
 ちなみに、警察とのやり取りでは、犯行の動機は”わからない”でした。
 特に欲しいわけでもなく、なんとなく盗んだと言う感じ。これには警察の人も呆れてました。
 親は、母親を呼んだはずなのに、父親も一緒に来てました。
 多分、合流するために時間がかかったと思うのですが、こっちの事を考えるのなら、1分でも早く来て欲しかったです。
 一見親は、普通の人に見えたので、後は任せる事にしました。
 親相手に文句をっても時間の無駄ですし、後は家族の問題。
 母親の方は泣いてましたし、父親は難しそうな顔をしてます。子供にとっては、これが一番堪えるので、目標達成と思って良いでしょう。
 警察の人は先に帰り、事務所には犯人をその両親。
 
 実は、ここまでずっと待っていたことがあるのです。
 でも、それも無駄だったみたいです。何度も、万引きは悪い事だと知っていると犯人は言ってました。
「悪いとわかっていてなんでそんな事出来るの?」
 と言う質問には、答えてくれません。
 最後の最後で、ちょっと失敗。かなり切れかかっていたので、大声を出してしまいました。
「悪いと事をしたと思っているなら、何で最初に頭を下げて謝れんだ!」
 と…。
 こいつ、一度も頭を下げて謝っていないのです。
 すいませんとは何度も言いましたが、心がこもってないと言われてもおかしくない態度。
 一応、この後ですぐごめんなさいと頭を下げたのですが、気持ちのこもってない謝罪ほど、起これるものはありません。
 自分も、対万引きは色々と経験しているので、ここ時点であきらめました。これ以上ここで自分がなにも言っても無駄だと判断。
 後は親に任せます。これ以上疲れるのは嫌です。無責任な言い方かもしれませんが、これが限界。
 早々に引き取ってもらい処理は終了。

 こんな事に慣れたくないけど、気持ちの切り替えがすぐに出来るようになっているので、自分が少し悲しいです。